経費にできるものは?
私がフリーランスエンジニアになったときは「これは経費にできるのか?」と何度も悩みました。
とくに最初の確定申告の時期は、ネットで調べながら手探りで記帳していたのを覚えています。
この記事では、フリーランスエンジニアとして私が実際に経費にしている支出をもとに、具体的な経費の種類や対応する勘定科目を紹介します。
「これも経費にしてよかったのか!」という発見につながれば幸いです。
まとめ|この記事でわかること
主な経費の例を整理すると以下のようになります。
- パソコン・モニター・周辺機器(消耗品費)
- 机や椅子、照明など作業環境の備品(消耗品費)
- Microsoft 365やChatGPTなどのサブスク(通信費)
- スマホやWi-Fi、サーバー代(通信費)
- クライアントとの打ち合わせ・飲食費(会議費/接待交際費)
- 交通費や出張にかかる宿泊費(旅費交通費)
- 技術書、セミナー・スクール受講費(新聞図書費/研修費)
- 自宅兼事務所の家賃や電気代(地代家賃/水道光熱費)
- 広告費や名刺印刷代など(広告宣伝費/事務用品費)
経費にすると何がいいのか?|簡単に言うと“節税”になる
経費にできる支出をきちんと記録しておくと、そのぶん課税される所得が減り、結果的に税金が安くなります。
たとえば、売上が500万円で経費が100万円あった場合、課税対象となるのは400万円になります。
つまり、仕事に関係する支出をきちんと経費にすることは、賢い節税につながるというわけです。
ただし注意点として、経費を増やせば税金は減りますが、そのぶん実際の出費も増えるため、経費が売上を上回ると手元のお金は減ってしまいます。あくまで「必要な支出を正しく経費にする」ことが重要です。経費にできる支出をきちんと記録しておくと、そのぶん課税される所得が減り、結果的に税金が安くなります。
たとえば、売上が500万円で経費が100万円あった場合、課税対象となるのは400万円になります。
つまり、仕事に関係する支出をきちんと経費にすることは、賢い節税につながるというわけです。
フリーランスが経費にできる条件とは?
大前提として、経費にできるのは「事業の売上を得るために必要だった支出」です。
つまり、フリーランスとしての仕事に直接関連する出費であれば、経費として計上できます。
たとえば、パソコンや開発用ソフトの購入、クライアントとの打ち合わせにかかる交通費・飲食費などが該当します。
一方で、プライベートの買い物や家族との食事、趣味の出費など、事業に関係しない支出は経費にできません。
判断に迷う場合は、「この支出がなかったら仕事が成立したか?」と自問してみるのがコツです。
その支出が売上につながる行動や業務遂行に必要であれば、経費として計上することに正当性があるといえます。
すなわち、プライベートの支出や主婦的な出費はNGですが、仕事に必要なものであれば多くが経費になります。
フリーランスエンジニアの私が経費にしているもの一覧
パソコン・周辺機器
エンジニアとして働くうえで、パソコンやその周辺機器はまさに命とも言える道具です。私は開業当初にノートPCとモニターを購入し、現在はデュアルディスプレイで快適な開発環境を整えています。
経費に計上している具体例は以下の通りです:
- ノートPCやデスクトップPC(MacBook、Windows自作PCなど)
- キーボード、マウス、外付けHDD、USBハブ
これらのうち10万円未満のものは「消耗品費」、10万円以上のものは「工具器具備品」として計上しています。青色申告をしていれば、30万円未満なら一括で経費にできる特例も使えるため、私は積極的にこの制度を活用しています。
デスク環境の備品
在宅ワークが基本の私にとって、作業環境の快適さは生産性に直結します。そこで、デスクや椅子、照明などにも積極的に投資してきました。
具体的には、昇降デスクを導入して姿勢を改善したり、目に優しいLEDデスクライトを選んだりしています。また、ノートやペン、整理用の収納グッズといった日用品もこまめに買い足しています。
勘定科目:デスクやチェアなど高額なものは「工具器具備品」、文房具や照明などは「消耗品費」として処理しています。
ソフトウェア・サブスク
業務効率化のために、私はさまざまなサブスクリプションサービスを導入しています。たとえば、Microsoft 365は書類作成に、Adobe Creative CloudはバナーやPDF加工に活用中。最近ではChatGPT PlusやGitHub Copilotといった生成AI系サービスも、調査・コーディングの補助に手放せません。
さらに、会計ソフトのfreeeも毎月利用しており、確定申告や月次の帳簿付けが非常に楽になります。
勘定科目:ソフトウェア利用料やAI系ツールは「支払手数料」、クラウド系の通信サービスは「通信費」で仕訳しています。
通信費
フリーランスとしてオンラインで作業を行う以上、通信環境は命綱です。自宅Wi-Fiや携帯代は経費にできます。
また、VPSやレンタルサーバー、独自ドメイン、AWSの利用料なども、すべて業務に関連しているため忘れずに計上しています。
勘定科目:通信に関する支出は「通信費」として仕訳します。
打合わせ・交際費
クライアントとカフェで打ち合わせをしたり、案件後に軽く一杯行くこともあります。そうした費用も、ビジネス目的であれば経費にできます。
たとえば、日中にカフェでの打ち合わせを行った場合は「会議費」。一方で、夜に飲食店で懇親を兼ねた食事をした場合は「接待交際費」として仕訳します。
勘定科目:会議費(1人5,000円以下の打ち合わせ)、接待交際費(取引先との親睦・営業目的)
交通費
クライアントとの打ち合わせやイベント参加などで移動が発生した際の交通費も、当然経費にできます。私の場合は、電車やバス、時には自家用車での移動時のガソリン代まで計上しています。
また、遠方での仕事や勉強会に参加する際には、ホテル代や現地での食事代も発生します。これらは業務に必要な出張費として、記録を残しておけばしっかり経費になります。
勘定科目:交通に関わる支出は「旅費交通費」、宿泊代は「宿泊費」、打ち合わせを伴う食事は「会議費」として処理しています。
学習・スキルアップ関連
IT業界は変化が早く、学び続けることが欠かせません。私は技術書を購入するほか、Udemyの動画講座やYouTubeのメンバーシップ、有料セミナーなどを定期的に活用しています。
最近ではAIやセキュリティ、フロントエンドの最新動向について学ぶために、スクール受講も経費にしました。成長のための投資は惜しまず、それを経費として計上できるのはありがたい仕組みです。
勘定科目:書籍は「新聞図書費」、講座・セミナーやスクールは「研修費」で処理しています。
自宅兼オフィスの家賃・光熱費
私は自宅を仕事場として活用しているため、その分の家賃や光熱費の一部を経費にしています。もちろん全額ではなく、作業スペースや使用時間の割合に応じて“家事按分”する必要があります。
たとえば、自宅のうち30%のスペースを作業場として使っていれば、家賃の30%、電気代の30%を経費として計上するという考え方です。freeeなどの会計ソフトを使えば、この按分計算も自動化できます。
勘定科目:家賃の按分分は「地代家賃」、電気・水道などの光熱費は「水道光熱費」で処理しています。
ふるさと納税
ふるさと納税は経費にはなりませんが、住民税や所得税の一部を“寄付”という形で先に支払うことで、翌年の税金が軽減される仕組みです。実質的に税金の支払い先を選べる制度ともいえます。
たとえば、年間5万円をふるさと納税すれば、翌年の住民税や所得税からほぼ同額が控除されます(2,000円を除く)。その結果、返礼品を受け取りながら節税効果が得られるため、多くのフリーランスにとってお得な制度です。
経費とは別枠ですが、「節税」という観点では強力な選択肢になります。
その他
経費にできるものは、機材や通信費に限りません。売上につながる支出も立派な経費です。私はWebサイトのLP(ランディングページ)制作費や、SNS広告の運用費などを定期的にかけています。
また、名刺印刷やブログのアイキャッチ画像に使う写真素材なども、情報発信や営業活動に欠かせないため経費にしています。こうした細かな支出も積み重なると大きな金額になるので、漏れなく記帳しています。
勘定科目: 広告やプロモーション目的の費用は「広告宣伝費」、名刺や印刷物・素材購入は「事務用品費」として処理しています。「広告宣伝費」、名刺や印刷物・素材購入は「事務用品費」として処理しています。「広告宣伝費」、名刺や印刷物・素材購入は「事務用品費」として処理しています。
よくある質問(Q\&A)
Q. 自宅の家賃や光熱費は経費にできる?割合は?
A. はい、事業に使用している割合分を「家事按分」して経費にできます。たとえば、作業スペースが自宅全体の30%であれば、家賃や電気代の30%を経費にできます。割合は面積や使用時間を基準に、合理的に説明できる範囲で設定しましょう。
Q. スマホやPCの購入は全額経費になる?減価償却?
A. 通常、10万円未満の物品は「消耗品費」として一括経費化できますが、10万円以上のPCやスマホなどは「工具器具備品」として減価償却が必要になります。
ただし、青色申告をしている場合は30万円未満までなら一括で経費に計上できる特例(少額減価償却資産の特例)が使えます。スマホも業務利用割合を考慮し、按分して処理しましょう。10万円未満の物品は「消耗品費」として一括経費化できますが、10万円以上のPCなどは「工具器具備品」として減価償却が必要です。スマホも業務利用分のみ按分して経費計上します。
Q. 税理士に頼んだ方がいいの?自分でできるもの?
A. freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使えば、自分でも十分に記帳・申告は可能です。特にフリーランスエンジニアは売上構造がシンプルになりやすく、帳簿も複雑になりにくいため、自力での対応もしやすい職種です。
ただし、経費が多岐に渡る場合や初めての確定申告が不安な方は、税理士に相談することで安心感が得られます。freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使えば、自分でも十分に記帳・申告は可能です。ただし、経費が多岐に渡る場合や初めての確定申告が不安な方は、税理士に相談することで安心感が得られます。
Q. 会食費は「接待交際費」でいいの?「会議費」との違いは?
A. クライアントとの軽い打ち合わせ(カフェなど)は「会議費」、食事を伴う懇親や営業目的の会食は「接待交際費」で処理します。金額の目安として、1人あたり5,000円以下であれば会議費として扱いやすいと言われています。
Q. 経費の上限はあるの?全体の何割まで?
A. 経費の割合に明確な「上限」はありませんが、あまりにも売上に対して経費の比率が高いと税務署に不自然と思われる可能性があります。事業規模や業種に応じた常識的な範囲で計上することが重要です。
まとめ|実際に経費にできるものを確認しよう
この記事では、私自身がフリーランスエンジニアとして実際に経費にしているものをカテゴリ別に紹介してきました。改めて、主な経費の例を整理すると以下のようになります:
- パソコン・モニター・周辺機器(消耗品費/工具器具備品)
- 机や椅子、照明など作業環境の備品(消耗品費)
- Microsoft 365やChatGPTなどのサブスク(通信費/支払手数料)
- スマホやWi-Fi、サーバー代(通信費)
- クライアントとの打ち合わせ・飲食費(会議費/接待交際費)
- 交通費や出張にかかる宿泊費(旅費交通費)
- 技術書、セミナー・スクール受講費(新聞図書費/研修費)
- 自宅兼事務所の家賃や電気代(地代家賃/水道光熱費)
- 広告費や名刺印刷代など(広告宣伝費/事務用品費)
経費にできるかどうかの判断基準は「業務に必要な支出かどうか」。それが説明できるなら、多くの支出は正しく経費として認められます。
正しく経費を理解し、上手に活用することで、納税額を抑えながら事業の成長に必要な投資もしやすくなります。今回のリストを参考に、自分の支出もぜひ振り返ってみてくださいね。
フリーランスエンジニアにとって「経費をどう扱うか」は、節税だけでなく、健全な事業運営にも大きく関わってきます。
大切なのは「これは仕事に必要な支出だったか?」という視点。
そして、根拠を持って記録し、一貫性のある勘定科目で処理することです。
経費を正しく計上することで、納める税金を適正にしながら、自分の仕事に必要な投資を増やしていけるようになります。
ぜひ、今回紹介した実例を参考に、自分なりの経費管理のスタイルを築いていってください。