はじめに:技術力だけでは評価されない時代に
エンジニアとして現場に出ると、「思っていたより技術だけでは評価されないな」と感じることがあると思います。実際、私が見てきた信頼されるエンジニアは、コードが書けるだけではなく、行動や姿勢に一貫した習慣を持っていました。
この記事では、スティーブン・R・コヴィーの名著『7つの習慣』をベースに、新人エンジニアが実務で信頼を得るために実践できる具体的な行動と考え方を紹介します。
この記事で学べること
• 『7つの習慣』をエンジニアとしてどう実務に活かせるかがわかる
• 技術だけでなく信頼される行動習慣が具体的に理解できる
• 現場でのコミュニケーションや成長への取り組み方が変わる
• 新人のうちから評価されるエンジニアになるヒントが得られる
なぜ『7つの習慣』がおすすめか
多くのビジネス書が「すぐに役立つテクニック」を教える中、『7つの習慣』は「どんな状況でも信頼される人になる」ための原則を教えてくれます。
特に新人エンジニアにとっては
• 実力の測り方が曖昧な中で評価される行動が見えやすくなる
• 自信がなくても行動次第で信頼を築けると知れる
• 社会人としての考え方の軸が持てるようになる
という点で非常に有益です。
『7つの習慣』とは?
スティーブン・R・コヴィーが提唱した『7つの習慣』は、成果を出すための行動原則を七つのステップで体系化したものです。
1. 主体的である – 自分の選択に責任を持ち、能動的に行動する。
2. 終わりを思い描く – 目指すゴールを明確にし、逆算で行動する。
3. 最優先事項を優先する – 重要だが緊急でないことを先にやる。
4. Win-Win を考える – 自分も相手も満足する解決策を探す。
5. まず理解に徹し、そして理解される – 相手を理解してから自分を伝える。
6. シナジーを創り出す – 違いを尊重し、相乗効果を生む。
7. 刃を研ぐ – 自分の心・体・知性を継続的に磨く。
新人エンジニアがこの原則を意識して行動すると、技術力だけでは届かない信頼と成果を手に入れやすくなります。
第1の習慣:主体的である
意味とポイント
主体的であるとは、環境や他人に反応するのではなく、自分の価値観に基づいて能動的に選択・行動することです。日々の小さな選択にも表れ、長期的な信頼につながります。新人のうちから意識することで、成長の土台が築かれていきます。
どんなとき役立つ?
• 指示待ちになりがちなタスク
• 曖昧な仕様や不明点があるとき
具体的な行動例
• 設計書に矛盾を見つけたら、自分なりに複数案を整理して提案する。
• 不具合の原因調査と同時に、再発防止チケットを起票する。
• 手が空いた時間で、次に取り組めそうな改善点をリスト化し、上位者へ相談する。
まずは自分から動くクセをつけてみましょう。
第2の習慣:終わりを思い描く
意味とポイント
終わりを思い描くとは、行動を始める前に最終的にどうなっていたいかを明確にすることです。ゴールが明確だからこそ手段や優先順位が定まり、ぶれない判断ができるようになります。新人のうちから意識すると成長の方向性が定まりやすくなります。
どんなとき役立つ?
• UI/UX設計や仕様検討のとき
• ユーザーの利用シーンを考えるとき
具体的な行動例
• 画面設計前にユーザーフローを図に描き、目標達成までの導線を確認する。
• プロトタイプを同僚に操作してもらい、行き止まりや迷いポイントを洗い出す。
• 仕様書の完了条件をユーザーがエラーなく業務を終えられるなど体験ベースで再定義する。
ゴールを決めてから動けば迷いません。
第3の習慣:最優先事項を優先する
意味とポイント
最優先事項を優先するとは、重要だけれど緊急ではないことに時間を確保するということです。目先の忙しさに流されず、本当に価値あることに集中する力を身につける習慣です。
どんなとき役立つ?
• 設計の見直しや振り返り
• 学習や技術共有の準備
具体的な行動例
• 毎朝30分、通知を切って技術調査やドキュメント整備に集中する。
• 週に1度、技術負債リストを更新し、優先度順に次のスプリントへ提案する。
• タスク管理ツールで重要だが緊急でないカテゴリを作り時間をブロックする。
時間は未来への投資とお考えください。
第4の習慣:Win-Win を考える
意味とポイント
Win-Win を考えるとは、自分も相手も満足する結果を目指すことです。どちらかが我慢するのではなく、双方にとって価値ある選択肢を見つける姿勢が、良好な人間関係とチーム成果を生みます。
どんなとき役立つ?
• コードレビューや仕様のすり合わせ
• 他職種との連携
具体的な行動例
• 指摘の前に相手の工夫を認め、改善案を選択肢として提示する。
• レビューコメントに理由とメリットをセットで書き、相手が得を感じられるようにする。
• チーム目標と個人目標がぶつかったときは、双方の成果が最大化する妥協点を探る。
勝ちより価値を共有いたしましょう。
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
意味とポイント
まず理解に徹し、そして理解されるとは、相手の話を真剣に聴いて信頼関係を築き、そのうえで自分の意見を伝えるという順番を大切にすることです。
どんなとき役立つ?
• 仕様変更や要望対応のとき
• チーム内で意見が対立したとき
具体的な行動例
• 要望を受けたらすぐに解決策を提示せず、なぜ必要かを二回質問する。
• 会議で意見が割れたら、まず相手の主張を要約して確認してから自分の考えを述べる。
• チャットで相談を受けたら、背景情報を質問して全体像を把握してから答える。
聴く姿勢が信頼への近道です。
第6の習慣:シナジーを創り出す
意味とポイント
シナジーを創り出すとは、異なる意見や強みを活かし合い、一人では実現できない成果を生み出すことです。違いを恐れず尊重し、共創の価値を引き出すことが重要です。
どんなとき役立つ?
• チーム開発やペアプロの場面
• 異なる職種とのコラボレーション
具体的な行動例
• デザイナーや営業とペアでタスクを進め、各自の制約や目標を共有して解決策を検討する。
• ペアプロ時に役割を交代し、相手の視点やノウハウを吸収する。
• バックグラウンドの異なるメンバー同士で定例のアイデア出しを行い、革新的な案を採用する。
違いを力に変えていきましょう。
第7の習慣:刃を研ぐ
意味とポイント
刃を研ぐとは、自己の身体・精神・知性・人間関係を定期的にメンテナンスし、磨き続けることです。仕事のパフォーマンスは、自分自身の健全さと直結しています。
どんなとき役立つ?
• スランプに陥ったとき
• 長期的なキャリアを考えたいとき
具体的な行動例
• 毎月1回、業務を振り返り「できたこと」「学んだこと」「次に挑戦したいこと」を記録し、必要に応じてチームと共有する。
• 技術書や記事を読んだらアウトプットとして要点を社内に共有し、学びを定着させる。
• 定期的に運動や十分な睡眠を確保し、パフォーマンスを維持する。
学びを止めず、刃を磨き続けましょう。
おわりに
『7つの習慣』は、技術力という武器を最大限に活かすための“OS”のようなものです。新人のうちからこれらの原則を意識して行動すれば、信頼や評価は自然とついてきます。
まずは一つの習慣からで構いません。今日から小さな行動を変えてみてください。それが積み重なったとき、あなたはきっと「頼られるエンジニア」と呼ばれているはずです。